『天国大魔境』の高原学園には、名字のない名前だけの子どもたちが生徒として暮らしています。
子どもたちの名前は漫画原作では全てカタカナで表記されているため特徴がないように感じますが、名前の由来や元ネタはあるのでしょうか?
この記事では、『天国大魔境』の登場人物キャラの名前の由来となる元ネタの日本神話やモデル人物を解説・考察していきます!
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【天国大魔境】キャラクター登場人物の名前の由来は?
まずは、『天国大魔境』のキャラクター登場人物の名前の由来について解説していきます!
名前の由来は日本神話の神様
『天国大魔境』の高原学園に暮らす子どもたちの名前の由来は、日本神話の神様です。
このことについては、天国大魔境公式コミックガイドで公開されていますので間違いありません。
それぞれのキャラの名前は、日本神話の神様の名前にちなんだ表現で名付けられています。
キャラクター登場人物と日本神話との関係性
キャラクター登場人物の元ネタとなる日本神話の神様と、実際に作中に登場しているキャラとの関係性は名前以外にはあまりありません。
高原学園に暮らす子どもたちの名前の由来は日本神話の神様ですが、その神様の特徴や日本神話の内容とキャラの設定には深い関係性がない、もしくは漫画原作8巻まででは分かっていないことが多く、特徴やエピソードに関係性があるキャラは
- クク
- アンズ
- タラオ
に現時点では限定されています。
また、作中では日本神話の内容とキャラの設定の関係性については触れられていません。
こちらについては、「キャラ別元ネタの日本神話やモデル人物を解説」にて後述する内容とキャラを比較してもらえるとより理解できると思います。
キャラクター登場人物と名前の由来の神様一覧
キャラ名 | 日本神話の神様 |
トキオ | 時置師神(ときおかしのかみ) |
コナ | 少名毘古那(すくなびこな) |
ミミヒメ | 天忍穗耳尊(あめのおしほみみ) |
シロ | 事代主神(ことしろぬしのかみ) |
クク | 多邇具久(たにぐく) |
アンズ | 天宇受売命(あめのうずめのみこと) |
タカ | 建御名方神(たけみなかたのかみ) |
タラオ | 天手力男神(あめのたぢからおのかみ) |
ナタ | 御倉板挙之神(みくらたなのかみ) |
ミチカ | 建御雷神(たけみかづちのかみ) |
サクヤ | 木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ) |
『天国大魔境』の漫画原作8巻まででは、作中ではキャラクター登場人物と名前の由来は明かされていません。
こちらの一覧は、天国大魔境公式コミックガイドに掲載されていた内容を元にまとめたものです。
それぞれのキャラの元ネタの日本神話やモデル人物についての解説は後述していきます。
【天国大魔境】キャラ別元ネタの日本神話やモデル人物を解説
ここからは、『天国大魔境』のキャラ別元ネタの日本神話やモデル人物を解説していきます!
トキオ:時置師神(ときおかしのかみ)
トキオは、高原学園の生徒の中でも特に不思議な出来事を体験している女子です。
整った容姿にベリーショートの髪型で男子のようにも見えますが、物語が進んでいくと女子であることがわかっていきます。
トキオの名前の由来は、時置師神(ときおかしのかみ)という神様です。
モデル人物の時置師神というのは時量師神(ときはからしのかみ)の別名で、日本神話では伊耶那岐神(いざなぎのかみ)が黄泉国から帰還して禊をする際に身に着けたものを脱いで化成した十二神の内、投げ捨てた嚢(のう)に成った神とされています。
嚢とはとじ口のある布製の袋のことです。
- 時を司る神とか時を計る神など時に関係して考える説。
- 十二神を旅にまつわる神々と見て、旅行の安全に大切な時間の把握に関わる神であろうとし、嚢は旅行用具や食料を入れるもので行程にまつわるものとして時間に関わるとする説。
などがあり、古事記に登場しているそうです。
コナ:少名毘古那(すくなびこな)
コナは、いつもスケッチブックに絵を書いている落ち着いた性格の男子生徒です。
高原学園で唯一の1期生で、実際に見たものではなく想像した不思議な絵をいつも描いています。
コナの名前の由来は、少名毘古那(すくなびこな)という神様です。
モデル人物の少名毘古那は、日本神話では天の羅摩船(あまのかがみぶね)と呼ばれるガガイモの実を割って作った舟に乗って海からやってきた神様とされています。
出雲に大国をつくった国づくりの神である大国主神(おおくにぬし)が名前を聞いても答えず、大国主神に従う神たちも正体がわからない謎の存在でしたが、大国主神と共に葦原中国(あしはらのなかつくに)を造りを終えると常世の国へと渡っていったのでした。
- 稲や粟の種を各地にもたらした穀物神という性格が強いことが指摘されている。
- 粟そのものの神格化と見る説。
- 国土の開拓者で宗教的権威を帯びた「土地の主」という地位を担う神と捉える説。
- 海のかなたの常世国からやってきた神としても考えられている。
などがあり、記紀万葉、風土記(出雲・播磨)といった日本上代の神話伝承や日本書紀、古事記で数々の異なる名前で登場しているそうです。
ミミヒメ:天忍穗耳尊(あめのおしほみみ)
ミミヒメは、優れた予知能力をもつ女子で動物のような長い耳が特徴の人物です。
高原学園の生徒の多くが予知能力を持っていますが、ミミヒメの予知能力は特に目立ちこれから起きることや亡くなった生徒の生前の姿などを見ることもできます。
ミミヒメの名前の由来は、天忍穗耳尊(あめのおしほみみ)という神様です。
モデル人物の天忍穗耳尊は別名を正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)ともいい、日本神話では天照大御神(あまてらすおおみかみ)の子となった五柱の男神の第一とされています。
作中でミミヒメは「星尾あかり(ほしおあかり)」という名前に改名するのですが、「ほしお」は「あめのほしおみみ」との名前と重なる部分がありますね。
- 「おしほみみ」は威力(生命力)に満ちた稲穂の神の意と考えられる。
- 「天之」は「高天原の直系の」、「忍」は「威圧的な」、「穂」は「稲穂」、「耳」は「神霊」を二つ重ねた尊称と理解できる。
- 「まさしく立派に私は勝った、勝利の敏速な霊力のある、高天の原直系の、威圧的な、稲穂の神霊」と考えられる。
などがあり、日本書紀や先代旧事本紀、古事記に登場しているそうです。
シロ:事代主神(ことしろぬしのかみ)
シロは、機会工作が得意でミミヒメに好意を抱いている男子です。
ミミヒメに対して一途な想いを抱きつつも、性の概念を教えてられていないこともありその感情を持て余している様子が見られます。
シロの名前の由来は、事代主神(ことしろぬしのかみ)という神様です。
モデル人物の事代主神は別名を八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)ともいい、日本神話では大国主神と神屋楯比売命(かむやたてひめのみこと)との間に生まれたとされています。
- 雲国造神賀詞では父から皇孫命(歴代天皇に当たる)の守り神たることを命じられている。
- 天皇の身を守るべく宮中に祭る八神殿にも名を連ねる。
- コトは(言)シロは(知る)意で天皇を守護する託宣の神。
- およそ中世のころからかこの神は恵比須様とされるようになっている。
などがあり、古事記や日本書紀に登場しているそうです。
クク:多邇具久(たにぐく)
ククは、壁などにまるでカエルのように張り付くことのできる特殊な手足を持つ人物です。
「くくっ」という笑い声が特徴で、子供らしく非常に無邪気な印象を受けます。
ククの名前の由来は、多邇具久(たにぐく)という神様です。
モデル人物の多邇具久は、谷蟆、谷蟇の字を当てて日本神話ではヒキガエルを指しており、カエルのような特徴を持つククのイメージとも重なりますね。
- 「国土の隅々まで知り尽くした存在」であるとか「地上を這い回る支配者」と考えられていた。
- 「クク」はヒキガエルの鳴き声の擬声語であるという説もある。
などがあり、古事記に登場しているそうです。
アンズ:天宇受売命(あめのうずめのみこと)
アンズは、踊りが得意な女子で作中では美しくしなやかな踊りを他の生徒たちの前で披露しています。
勉強もできる優等生のような雰囲気があるものの、着なくてもよい水着を間違って着用してしまうなどそそっかしい一面も。
アンズの名前の由来は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)という女神です。
モデル人物の天宇受売命は別名を天鈿女命(あめのうずめのみこと)ともいい、日本神話では古代に宮中の祭りで巫女の役をした猿女の祖先の女神とされています。
天岩屋戸の内に隠れた天照大神を招き出すための祭りで、伏せた桶を踏みとどろかして卑猥な踊りをしたというエピソードから日本最古の踊り子ともいわれているようです。
踊りという部分は、アンズの特徴とも似ていますね。
- 神の依り代となる「髻華」(髪飾り)を挿した巫女という説。
- 岩戸隠れの伝説から笑いを導くことにより自然の回生を図るものとする説。
- 鎮魂祭儀の蘇生を目した行為とする説。
- 天宇受売命が猿女君の名を負うのは猿田彦の力能を奪った、もしくは継承したとする説。
などがあり、古事記に登場しているそうです。
タカ:建御名方神(たけみなかたのかみ)
タカは、高原学園の生徒の中でも特に抜群の運動能力をもつ男子です。
好奇心も旺盛でその運動能力を活かして様々なことを行い屋根に近い高さから落下するシーンがありますが、地上に叩きつけられても怪我をすることのない頑丈な身体をもっています。
タカの名前の由来は、建御名方神(たけみなかたのかみ)という神様です。
モデル人物の建御名方神(たけみなかたのかみ)は別名では南方刀美神(みなかたとみのかみ)とも呼ばれ、日本神話では地上の支配者である大国主神の子とされています。
作中でタカは「南方弥刀(みなみかたみ)」という名前に改名するのですが、南方弥刀という名前は建御名方神の別名である南方刀美神の名前と重なる部分がありますね。
- 「御」は美称、「名」は名、「方」は堅の意の尊称と解する説。
- 武神としての性格をもつ。
- 諏訪地方に伝わる伝承では現地の神々を征服する神として登場。
などがあり、古事記、先代旧事本紀、日本書紀に登場しているそうです。
タラオ:天手力男神(あめのたぢからおのかみ)
タラオは、治療法のない原因不明の病に侵され車いすで生活している生徒です。
見た目からは少年のように見えますが、性別については作中で明かされていません。
タラオの名前の由来は、天手力男神(あめのたぢからおのかみ)という神様です。
モデル人物の天手力男神は別名では天手力雄神とも呼ばれ、日本神話では天照大神の隠れた天の岩屋の戸を手で開けた大力の神といわれています。
タラオは『天国大魔境』の物語開始時にはすでに病気に侵されていますが、元気だった頃にはタカでも持ち上げることができないほどの思い石を投げていたのだそうです。
並外れた手・腕の力を持つタラオは、まさに天手力男神の特徴とも重なっているように感じます。
- 文字どおり手の力の強い神を意味している。
- 腕力の神格化とする説。
などがあり、古事記に登場しているそうです。
ナタ:御倉板挙之神(みくらたなのかみ)
ナタは、作中ではほとんど登場シーンがなく目立たなかった女子生徒です。
自衛隊が学園を襲撃したとき頭を打ち、意識不明となってしまいます。
ナタの名前の由来は、御倉板挙之神(みくらたなのかみ)という首飾りの珠(たま)の名です。
日本神話では、この首飾りは伊耶那岐神が天照大御神に高天原の統治を命じた時に授けたものとされています。
作中でナタは「三倉まなか(みくらまなか)」という名前に改名するのですが、「みくら」と「ナタ」はどちらも御倉板挙之神の名前と重なる部分がありますね。
- 神聖な倉の棚の上に安置する神を意味している。
- 伊耶那岐神から授かった珠をその棚の上に安置したことによる神名とする説。
- 倉に納められる稲種(いなだね)の神霊で宇迦之御魂(うかのみたま)神らと同類の神を表していた説。
などがあり、古事記に登場しているそうです。
ミチカ:建御雷神(たけみかづちのかみ)
ミチカは、やんちゃな性格で野生児を思わせる活発な性格の人物です。
ククのような特殊能力はないものの、森林を縦横無尽に駆け抜けることのできる高い身体能力をもっています。
ミチカの名前の由来は、建御雷神(たけみかづちのかみ)という神様です。
モデル人物の建御雷神は別名では建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ)とも呼ばれ、日本神話では雷神、かつ剣の神とされています。
作中でミチカは「竹塚ミチカ(たけづかみちか)」という名前に改名するのですが、「たけづかみちか」という名前は建御雷神(たけみかづちのかみ)をそのまま並び替たような形になっていますね。
- 剣神である証(あかし)として自らのかわりに剣を降した。
- 伊耶那岐神が迦具土神を斬り殺した際、刀の本についた血が湯津石村に走りついて生まれた神。
- 国譲りの交渉の際には、剣の刃先に座ったり手を刃に変化させたりする描写がある。
などがあり、古事記や日本書紀に登場しているそうです。
サクヤ:木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)
サクヤは、高原学園では植物の世話をしている少女です。
あまり目立った登場シーンは作中にはありませんが、動機であるマコと一緒にいる姿を多く見かけます。
サクヤの名前の由来は、木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)という女神です。
モデル人物の木花之佐久夜毘売は、日本神話では美しい容姿をもち邇邇芸命(ににぎのみこと)から求婚を受け結婚し一夜で身篭ったとされています。
作中でサクヤは「八坂なのは(やさかなのは)」という名前に改名するのですが、「八坂なのは」と「サクヤ」は合わせると木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)の名前とかなり近くなりますね。
- 名は一般的には植物と関連づけられている。
- 木花之佐久夜毘売の神名の「木花」は「桜の花」を意味している。
などがあり、古事記、日本書紀、播磨国風土記に登場しているそうです。
【天国大魔境】キャラ以外の名前の由来と元ネタを考察
ここからは、『天国大魔境』のキャラクター登場人物以外の名前の由来と元ネタを考察していきます!
あめのぬぼこ:天沼矛
『天国大魔境』での「あめのぬぼこ」は、高原学園の園長が命名した小惑星の名前として登場します。
元ネタは、日本神話の天沼矛(あめのぬぼこ)だと考えられます。
天沼矛とは、日本神話で伊邪那岐(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)の二柱の神が大地を完成させることを命じられた際に与えられた矛です。
伊邪那岐と伊邪那美は、その矛で渾沌とした大地をかき混ぜたところその矛の先からしたたり落ちた滴が積もって淤能碁呂島(おのごろじま)となりました。
そして伊邪那岐と伊邪那美はその島で結婚して日本という国と神々を産んだとされています。
まひらくつのくれつれ…:斉明天皇紀にある童謡(わざうた)
「まひらくつのくれつれ…」は、ミーナシステムの認証合言葉として作中で登場します。
元ネタは、斉明天皇紀にある童謡(わざうた)の一節であると考えられています。
これは斉明天皇の時代に子どもたちの間で歌われた童謡らしいですが、どのような意味があるのかは分かっておらず、この童謡を歌っていた人たちが意味を知っていてこれを歌っていたのかも不明とされている謎めいた童謡です。
ヒルコ:蛭子神(ひるこ)
「ヒルコ」は、怪物や人食いなど様々な呼ばれ方で登場し人間を襲う危険な存在です。
元ネタは、蛭子神(ひるこ)という日本神話に登場する最初の神であると考えられます。
蛭子神は伊邪那岐と伊邪那美の最初の子であり、子作りの際に女神である伊邪那美から先に男神の伊邪那岐に声をかけた事が原因で蛭のように骨のない不具の子に生まれました。
そのため、すぐに葦船(あしぶね)に入れて淤能碁呂島から流されたとされています。
ヒルコは正体不明の化け物のような姿で作中に登場している点が、人の姿をしていなかった蛭子神とも通じるように感じます。
高原学園:高天原(たかまがはら)
高原学園は、1995年に上仲詩乃(かみなかしの)学園長によって創立された学校法人です。
元ネタは高天原(たかまがはら)で、日本神話や祝詞において天照大御神を主宰神とした天津神が住んでいるとされた場所のことだと考えられます。
高天原は天上界にあり、古事記においてはその冒頭に「天地(あめつち)のはじめ」に神々の生まれ出る場所として高天原の名が登場しています。
高原学園は新人類が誕生している場といえ学園長は天国時代の訪れを理想としていますので、新たな神々の生まれ出る場所として高天原とも共通しているように感じますね。
まとめ
この記事では、『天国大魔境』の登場人物キャラの名前の由来となる元ネタの日本神話やモデル人物を解説・考察してきました。
- 『天国大魔境』のキャラクター登場人物の名前の由来は日本神話の神様。
- キャラクター登場人物の元ネタとなる日本神話の神様と、実際に作中に登場しているキャラとの関係性は名前以外にはあまりない。
- 一部のキャラクターのみ身体的な特徴や特技などが日本神話の神様と関係性がある。
- キャラクター登場人物と名前の由来の神様一覧は以下の通り。
トキオ:時置師神(ときおかしのかみ)
コナ:少名毘古那(すくなびこな)
ミミヒメ:天忍穗耳尊(あめのおしほみみ)
シロ:事代主神(ことしろぬしのかみ)
クク:多邇具久(たにぐく)
アンズ:天宇受売命(あめのうずめのみこと)
タカ:建御名方神(たけみなかたのかみ)
タラオ:天手力男神(あめのたぢからおのかみ)
ナタ:御倉板挙之神(みくらたなのかみ)
ミチカ:建御雷神(たけみかづちのかみ)
サクヤ:木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ) - キャラ以外の名前の由来と元ネタと思われるのは以下の通り。
あめのぬぼこ:天沼矛
まひらくつのくれつれ…:斉明天皇紀にある童謡(わざうた)
ヒルコ:蛭子神(ひるこ)
高原学園:高天原(たかまがはら)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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